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3月3日、人と自然の共生を実現する「LVNS Forest Project」の発表会を実施

株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役グループCEO:丸幸弘)は、アセットをもつ日本企業12社とともに、科学・技術の集合体であるディープテックを組み上げ、持続可能な形で森林と人が共生する社会をつくる「LVNS Forest Project(リバネス・フォレスト・プロジェクト)」を立ち上げ、3月3日(金)12時-13時(於:超異分野学会 東京大会内)にて発表会を開催いたしました。

LVNS Forest Projectプレスリリースはこちら:https://lne.st/2023/03/03/lvnsforest/

発表会では、株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO 丸幸弘より、LVNS Forest Projectの立ち上げの背景や意義、今後目指す姿について発表するとともに、本プロジェクトを共に立ち上げた12名の方から、プロジェクト参画の思いや実現したいことなどについてメッセージをいただきました。

森林と人が共生する社会を創る 

株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO 丸幸弘

これから我々リバネスが始めようとしていることは、CO2固定のビジネスではありません。森林と人が共に生きることが豊かな地球を創るという概念まで広げていきたいと考えています。いま地球上の森林がどれくらい減っているか想像したことがあるでしょうか。
今から20年前に創業したリバネスは、「科学技術の発展と地球貢献を実現する」という理念のもと、「森林と人が共生する社会を創る」という大きなプロジェクトを立上げました。

東南アジア、アメリカ、イギリスに子会社をもつリバネスは、超異分野学会のような大きな集まりをつくり、中高生・研究者・政府・ベンチャー・大企業・中小企業の知識プラットフォームを形成してきました。これまで多くの企業は、御社弊社の関係性の中で、ライバルをいかに負かせ、自社の売上や利益をあげていくかを考えてきたと思います。大学の研究もどちらかというと競合と戦いながらやってきました。私は、そうではなく、共に創るという概念を形成するためにリバネスを創業したのです。この20年間、教育、人材、研究、創業の4つの柱を通じて、人が育ち研究開発が行われ、それが社会にでて世の中をよくしていく、そんな知識プラットフォームをつくってきました。

ここからどのように変わっていくのかというと、プラットフォームに参加している多くの方々と、Knowledge Manufacturing(知識製造)をまわし、Knowledge Based Platform(知識プラットフォーム)からKnowledge Manufacturing Platform(知識製造プラットフォーム)へと進化を遂げていきます。我々自身が物をつくり、それを課題の現場に届け、課題を解決していく。ただ学会で人を集めるだけでは何も変わらない。誰かがリーダーとなり、誰かがリスクをとって実現しなければならない。我々は次の20年間、世界を変えるためにこれを実行していくと宣言します。今日はその一つ目のプロジェクトの発足の日です。

私は2019年にディープテックという書籍を発刊しました。一つのテクノロジーではもはや課題は解決できない、多様なテクノロジーを組み合わせれば、課題解決にもっと近づくかもしれないという概念です。特に東南アジアにはたくさんのディープイシューが存在しています。森林の破壊もその一つです。それを、集まってきたテクノロジーや知識の集合体でやっつけていくのです。

生態系、海洋資源、森林、自然災害、本当に解決しないといけない課題が山積しているのに、今だに自分たちの売上・利益だけを追求する企業があるのは非常に残念なことです。これまでとは異なる概念の中で新しいプロジェクトを生み、10年、20年先の次の地球を創っていかなればいけないと考えました。そして、次の20年、このプロジェクトに参加してほしいと声をかけた時に、志の高い、素晴らしい12名のチームが集まりました。

12名のメッセージ

株式会社ACSL 代表取締役社長
鷲谷 聡之 氏
ACSLはドローン企業として、2018年に上場しました。鳥が単語や言語に縛られずに国境を越えて飛ぶように、ドローンとディープテクノロジーは普遍的です。次世代のために持続可能な世界を創るだけでなく、持続可能な未来の創造を可能にするツールとシステムを作ることは、私たちの世代の責任であると私は信じています。このプロジェクトを通じて、フィリピンやその他の地域で森林再生の取り組みをスタートできることを嬉しく思います。


株式会社荏原製作所 マーケティング統括部長
須田 和憲 氏
荏原製作所は1912年にポンプの会社からスタートしました。創業の精神「熱と誠」という言葉にも込められたチャレンジャーとしての気概を大切に、安心・安全で豊かな社会の実現に取り組んでおります。このプロジェクトは、炭素の吸収源を増やし、更に水資源や生物多様性など、画期的な取り組みのスタートとなります。丸CEOからの「地球貢献」というキーワードを軸に、12社のパートナー企業の皆様と共に新しいステージに向けて取り組んで参りますので、今後の大きな成果に期待してください。


KOBASHI HOLDINGS株式会社 代表取締役社長
小橋 正次郎 氏
KOBASHI HOLDINGSは1910年に創業した農業機械メーカーです。100年以上にわたり農地を耕して、地球に貢献してきたという自負がございます。しかし、これからの時代は農地を耕すだけではなく、ドローンを使って空を耕したり、新しい可能性を見出すために森も耕していかなければいけない、そんな時代に突入したのではないかと思います。このものづくりの力を使って、森林を耕し、より良い地球を創っていきたいという思いを込めて、プロジェクトに参加しました。



サグリ株式会社 取締役 COO
益田 周 氏
私たちはAIを使って衛星データを解析し、農業に役立てるスタートアップです。Sagriを通じて、インドやタイでカーボンクレジットを発行し、気候変動による悪影響を最小限に抑える活動をしています。我々の衛星データ技術を使って苗の成長を分析することで、このプロジェクトに寄与できると考えています。先日、東南アジアでの活動の拠点としてシンガポール法人を設立しましたので、このプロジェクトを通じてフィリピンにも貢献できることを嬉しく思っています。



株式会社JEPLAN 代表取締役 執行役員社長
髙尾 正樹 氏
今私が着ている服は、廃棄された服を我々の技術でリサイクルして作ったものです。この資源循環技術によってCO2を49%削減することができるのですが、果たして、49%で良いのかと疑問に思っていました。目指すべきはカーボンニュートラルです。そのためには我々だけではできません。なぜならリサイクルにはガスも電気もたくさん使うからです。その時に発生するCO2を減らさなければいけません。そこで出会ったのが今回のプロジェクトです。我々はこの服を一枚着ていただくと、カーボンニュートラルを実現するという世界を目指しています。我々の技術やソリューションと今回のプロジェクトが組み合わさることによって、それが実現できるのではないかと期待しています。



株式会社パイオニア・コーポレーション 代表取締役
久保 友志郎 氏
10年ほど前から日本には杉が備蓄されています。これらを有効に活用するため、住友林業様と共に、一般的な柱サイズである105角の国産杉材を用いた製品づくりを促進するプロジェクトを実施しています。我々は得意とするものづくりの面からサポートしています。昨今の新型コロナウイルス感染症の影響で、思うように進められていなかったところ、今回のリバネス・フォレスト・プロジェクトのお話がありました。森の樹木の用途開発や製品開発など、出口戦略において我々の力を発揮し、地球資源の循環型経済システムをつくっていきたいと思います。



長谷虎紡績株式会社 代表取締役社長
長谷 享治 氏
我々は明治20年に創業し136年目を迎えます。その間、ずっと繊維に携わる仕事をしてきました。なぜ136年も続いているのかというと、ただ物を作ってきたわけではなく、常に世の中に必要とされることをやる、社会課題を解決するという精神が我々の根底にあるからです。このプロジェクトにはすぐに参加することを決めました。なぜならこれを通じてより大きな社会課題を解決できるからです。この技術はフィリピンだけでなく世界中の森林に及び、さらに森林だけでなく農業にも大きなインパクトを与えられる可能性があります。我々は繊維を通じて様々な機能素材を開発していますが、今や紡績業は、98%の設備が日本から失われています。今こそこの繊維素材を活用して、日本の繊維から世界を大きく変えていきます。



東日本旅客鉄道株式会社 常務執行役員
マーケティング本部副本部長 表 輝幸 氏
昨年10月に日本の鉄道は150周年を迎えました。安全で正確な鉄道ネットワークとして世界から高い評価をいただいています。これは150年前に鉄道を作った先人の知恵と尽力の賜物です。今年、151年目は、次の150年に向けた新たな一歩を踏み出す年になります。150年後の後人に感謝してもらえるような社会をつくるべく、様々な挑戦をしています。その一つが「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」です。100年先の心豊かな暮らしのために地球課題を解決するようなまちづくりに挑戦しています。夢と希望が溢れる未来において、CO2排出は非常に大きな課題です。これを解決するために、むしろまちをつくりながらCO2を吸収する、そんな地球規模の課題解決に取り組むという思いでこのプロジェクトに参加しました。後世にわたって安心して暮らせる、そんな地球をつくっていきましょう。



BIPROGY株式会社 代表取締役社長 CEO・CHO
平岡 昭良 氏
昨年4月に日本ユニシス株式会社はBIPROGY株式会社へと社名変更しました。BIPROGYは光が屈折・反射した時に見える7色の頭文字をとって名付けられました。テクノロジーの可能性を引き出し、この地球に終わりのない物語を作りたいという思いが込められており、そのために必要な「多様性」を7つの光で表しています。今回のプロジェクトも未知数ではありますが、騙されたつもりでやることも多様性の一つと思い参加しました。我々は既に、日本の森林資源を豊かにするために国産木材の流通を促進する仕組みづくりの会社を設立しています。また、森林の生産性や環境保全の見える化を行う仕組みも作っています。志を一つにした皆さんと一緒に、騙され続けると良い結果に結びつくことを証明していきます。



株式会社フォーカスシステムズ 代表取締役社長
森 啓一 氏
フォレストの日本語は森です。この世に生を享けてからずっと「森」と向き合ってきました。おそらくこの後も向き合っていくことになると思います。そういう意味でも、今回のプロジェクトは非常に身近に感じます。我々はIT企業です。ITは決して目立つ存在ではないかもしれませんが、常に社会に必要不可欠な技術を提供しています。ITの知見を通じて地球環境や森林を守るプロジェクトに参加できること、そして、皆様と共に課題を解決できることを非常に楽しみにしています。



株式会社ユーグレナ 代表取締役社長
出雲 充 氏
今日は、日本の起業家を代表して一言言わせてください。私は、バングラデシュの栄養失調を目の当たりにした実体験から、栄養問題を解決するためにユーグレナを立ち上げました。2005年の創業以来、丸CEOはユーグレナと伴走してくれました。誰よりも長く日本の一起業家を応援してくれた丸CEOに心から感謝します。今回のプロジェクトに参加することで、日本の技術を東南アジアの社会課題解決に展開するとともに、国内外の起業家にも恩返しをしたいと思っています。



ロート製薬株式会社 取締役CCO
檜山 敦 氏
“ロート製薬はWell-beingな社会を実現したいという思いで、ヘルスケアに加えて食事業、循環型農業に取り組んできました。事業をやればやるほどわかることは、物だけを循環させるのではだめだということです。”地域の社会や環境も含めて”循環させていかないと、本当の意味でのWell-beingは実現できないとつくづく感じています。その点において、今回のプロジェクトに大変共感し、参加することを宣言しました。先ほど騙され続けるという話もありましたが、”勝つまでやる。だから勝つ。”という格言にもある通り、どんなことも信念をもってやり続ければ必ず結果がでるということです。どんなことも信じてやり続ければ必ず結果がでるということです。今日集まった12人はそういう志をもっている方たちです。一緒にチャレンジしていきましょう。


株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO 丸幸弘より、本プロジェクトの第1弾として、フィリピンの森を舞台に開始する実証の内容についてお話しました。

 

フィリピンでの実証について

株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO 丸幸弘


世界の森林は減り続けています。木を植える速度より、破壊の速度が速いので、地球全体の森は減少しているのです。これがいま我々が直面している現実です。いま人類はあまりにも現実を直視しなくなっているのではないでしょうか。まちをつくるために木を伐採し、それだけではなく、鉱物を得るためにマイニング会社が森を崩して鉱山を掘り続けています。この鉱物は皆さんが持っているスマホにも使われているため、間接的に森林破壊に関与しているということになります。これが現実なのです。

それならば、パソコンの使用をやめるか、科学・技術の発展をとめるかというと、それは違います。では、どうするかというと、テクノロジーを組み合わせて、再び森をつくる速度をあげる以外に方法はないのです。多額の資金を投じ続けるのではなく、持続可能な形を考えなければいけません。つまり、そこで生活する地域住民の方々が自然に森をつくりたいと思う状況をいかにつくりあげるか。そのヒントをくれたのが、GALANSIYANGというフィリピンのベンチャー企業です。地域住民の方々がシードボールをつくり、その中に木の種を植え、ドローンを使って自律的に森をつくっていくという取り組みです。もちろんまだテクノロジーもお金も人も不足しています。しかし、この地元で生まれたアイデアを絶対に実現するんだという熱いベンチャーが我々にきっかけを与えてくれました。

100年前、2100万haあった森林がいまは600万haに減少しています。これからやるべきは、新しい植林技術を日本からもっていくことです。日本も40年前は森林がどんどん伐採されていました。しかし、日本では森林科学の研究者がその解決策を示し、緑豊かな国になっています。教育によって森が豊かになると生態系が多様になり、生活も豊かになることを知っています。しかし、フィリピンにはまだそういう教育がありません。検証すべきポイントはまだたくさんあります。収益性の高い樹木の植林ばかりを考えると10年-20年のスパンになります。果たしてそういう樹木だけを植えていけばいいのでしょうか。また、シードボールは土だけでなく地元の農業から出るバイオ残渣でつくれるかもしれません。ユーグレナでもバイオ肥料の研究をしていますが、そういう新しいテクノロジーを導入してもっと速く森林が形成される可能性もあります。

我々は、今日のこの発表をもって、3月にフィリピンのミンダナオ島に行き、100haの実証サイトを活用した実証実験について林野庁の方とディスカッションします。ドリアンやジャックフルーツ、マンゴスチンなどの果物が成る木を先に植えて、地域住民の方々にできた果実をビジネスとして活用していただく。ただ果実を売るだけではなく、フルーツミートのような新しいフードテックとしての開発も見込まれます。まず先に地域に収益をもたらし、その後に建築用資材となる木や収益性の高い木を植えていきます。さらに、サグリの衛星データ解析技術を用いて、CO2の固定や生物多様性のモニタリングデータを取得していきます。これらの活動を通じて豊かな森林と人が共生していく、そんな世界を想像して我々はチームを発足させました。これまで、多くの人々は、まちはまち、森は森で区画された中で生活するようになり、様々な環境問題が浮き彫りになってから、お金を使って木を植えようという考え方になっていました。我々は、そうではなく、森とまちが自然と一体になるような考え方で地球を豊かにしていくことを目指しています。

このリバネス・フォレスト・プロジェクトに、さらに多くの中高生や研究者、大企業、中小企業、ベンチャーに参加いただき、森林と人が共生する社会に向けて知識製造を加速させていきましょう。

 

苗木の贈呈

超異分野学会に参加した中高生研究者13名より、フィリピンに自生するドリアン、マンゴスチン、ジャックフルーツの苗木をプロジェクトメンバー1人ひとりに贈呈しました。

最後に、フィリピンでの森林再生プロジェクトのパートナー企業であるGalansiyang Inc.のCEOであるJay Arneil Gajudo氏によるスピーチがありました。

「2012年に私たちの村であるIligan Cityは破壊的な台風に襲われ、何千人もの人々が亡くなり、少なくとも300人が今も行方不明になっています。昨年のクリスマスイブにも台風に襲われ、ミンダナオ島の半分が浸水しました。これによって多くの人が家を失い、生計を立てられなくなりました。これらはすべて、気候変動と森林伐採の影響であると考えています。
私たちのプロジェクトが生まれたきっかけは、共同創業者の一人であるJoshuaと私が高校時代からドローンを作っていたことが始まりです。大学生になって、ドローンを私たちの環境やコミュニティそのものを助けるために活用できないかと考えました。そこで、部落や刑務所、高齢者施設などを訪問する社会貢献活動から始め、ドローンによる森林再生というコンセプトが、個人レベルからBコーポレーション、政府、企業まで、誰もが取り組めるコミュニティ型のコンセプトであることに気づきました。本プロジェクトに参加してくださった皆様の技術や各種サポートによって、私たちのプロジェクトを共に前進させてくれることに感謝いたします。」

 

<本件に関するお問合せ>
株式会社リバネス 担当:神藤、松原
TEL:03-5227-4198 Mail:[email protected]

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